4、「海賊とよばれた男」 百田尚樹

「ならん! ひとりの馘首もならん」ー 敗戦の夏、異端の石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は、なにもかも失い、残ったのは借金のみ。そのうえ石油会社大手から排斥されうる油もない。しかし国岡商店は社員一人たりとも馘首せず、旧海軍の残油集めなどで糊口をしのぎながら、たくましく再生していく。20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と戦った男は- 出光興産の創業者・出光佐三をモデルにした本格歴史経済小説。上下巻合わせて700ページ越えの超大作です。

 

この小説の魅力といえば、国岡鐵造の信念とそれに影響されて揺れ動く人々の心です。

彼は常に「日本の為」を新年にどんな敵や困難も乗り越えていきます。

 

最もワクワクするのは、極秘でイランの石油を取りに行く話。

活字でも恐ろしく緊迫感が伝わってきて自分もなぜか偉大なことを目撃したような感動を味わえました。

 

下巻終盤で、鐵造が人生を振り返るシーンがあります。

「自らの信念をもって正しい行いを続けていれば、絶対に間違った方向に行くことはない」

人間万事塞翁が馬といいますが、きっと一本の軸、信念を持っていれば、運命はいい方向に向かうんだと思います。生きていくうえで運命と偶然は同時に起こっているわけです。23歳の若造のくせに大それたことを言ってしまいました(笑)

 

敗戦後、日本をここまでの国にした立役者の一人の生き様を学べる本です。

是非、読んでみてください。